不動産コンサルティングQ&A

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1-1.「不動産コンサルティング」とはどのような業務をいうのですか。


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一般に「コンサルティング」とは、相談に対し、専門家としてその解決策等の判断材料を示すことをいいます。ですから、「不動産コンサルティング」とは、不動産の専門家が、不動産に関する相談に対し、その改善策・解決策を判断材料として示すことである、ということができるでしょう。
また、判断材料を提示された依頼者が、その改善策・解決策を実行しようとする際、その進捗監理等を委ねたいと希望するかもしれません。これを受託して行うことも広義の「コンサルティング」といえるでしょう。
便宜的に、前者を「企画提案型」、後者を「事業執行型」と呼ぶこととします。
「不動産コンサルティング技能試験・登録制度」に基づく「不動産コンサルティング技能登録者」(平成25年1月より「公認 不動産コンサルティングマスター」という名称となっています。)が行う企画提案型の不動産コンサルティング業務については、「依頼者との契約に基づき、不動産に関する専門的な知識・技能を活用し、公正かつ客観的な立場から、不動産の利用、取得、処分、管理、事業経営及び投資等について、不動産の物件・市場等の調査・分析等をもとに依頼者が最善の選択や意思決定を行えるように企画、調整し、提案する業務」(『不動産コンサルティング制度検討委員会報告書』(平成11年9月21日公表))と定義されています。
一方、自社商品の販売を促進するなどのために行われる営業活動の一部も「コンサルティング」と称されることがありますが(コンサルティング営業)、上記の意味からすると、これが本来の「コンサルティング」といえるかは疑問であるといわざるを得ません。


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1-2.「不動産コンサルティング」は一般の不動産業の業務(宅地建物取引)とは違うのですか。


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企画提案型の「不動産コンサルティング」は、「企画、調整し、提案する業務」ですから、宅地建物の売買、代理、売買の媒介等の業務がコンサルティング業務自体に含まれるわけではありません。ただ、企画提案を行った結果、依頼者の意向により、提案に基づく宅地建物取引業務を受託することはありえます。
しかし、その宅地建物取引業務は、コンサルティング業務とは独立した別個のものでなければなりません。その意味で、不動産コンサルティング業務と宅地建物取引業務とはそれぞれ独立した業務です。
ただし、依頼者に対し的確な判断材料を提示するためには、不動産に関する広範で深い知識・経験が必要とされますので、「不動産コンサルティング技能試験・登録制度」に基づく「公認 不動産コンサルティングマスター」については、その登録要件として、宅地建物取引士あるいは不動産鑑定士、一級建築士(平成25年度より)の登録後5年以上の実務経験を有していることなどが求められています。


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1-3.「技能登録者がご相談にお応えします」というステッカーの貼ってある不動産屋さんを見かけますが、「技能登録者」(不動産コンサルティング技能登録者)とはどういう人なのですか。


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「不動産コンサルティング技能登録者」とは、不動産コンサルティングを円滑に行うために必要な知識及び技能を有していると認められて(公財)不動産流通推進センターに登録された人のことです。ただし、平成25年1月から「公認 不動産コンサルティングマスター」という新しい名称となっています。
(公財)不動産流通推進センターが国土交通大臣の登録を受けて実施している登録証明事業「不動産コンサルティング技能試験・登録事業」に基づくもので、宅地建物取引士資格登録者及び不動産鑑定士、一級建築士(平成25年度より)を対象に試験が行われ、試験に合格し、不動産等に関する5年以上の実務経験を有する等の登録要件を満たした方が、申請により「公認 不動産コンサルティングマスター」として登録されます。知識・経験を兼ね備えた「不動産のプロ」といえるでしょう。


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1-4.「公認 不動産コンサルティングマスター」は国家資格なのですか。


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この制度は、(公財)不動産流通推進センターが国土交通大臣の登録を受けて不動産コンサルティングに関する一定水準以上の知識と技能を持っていることを証明するものです。
国が直接実施する試験ではありませんので、国家資格ではありませんが、依頼者にとっては、「公認 不動産コンサルティングマスター」であれば不動産コンサルティングに関する一定水準以上の知識と技能を持っていると判断できますから、依頼先を選択する際の目安になると言えるでしょう。

また、「公認 不動産コンサルティングマスター」になると、以下の3つの法令等に基づく資格が与えられます。
(1)「不動産特定共同事業法」において不動産特定共同事業を行うための許可を受ける条件の1つとして事務所ごとに置かなければならない「業務管理者」となる資格
(2)「不動産投資顧問業登録規程」(国土交通大臣告示)において「登録申請者」及び「重要な使用人」の知識についての審査基準を満たす資格
(3)「金融商品取引法」における「不動産関連特定投資運用業」を行う場合の人的要件を満たす資格

このように、「公認 不動産コンサルティングマスター」は不動産コンサルティングに関する一定水準以上の知識と技能を持っている者と認められ、不動産関連の法令においても重要な資格を与えられています。


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1-5.「不動産コンサルティング」には報酬を支払わなければなりませんか。


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「コンサル営業」という言葉があるように、業務や商品の受注などを促進するために行われる“コンサルティング”は営業活動の一環ですから、報酬を支払わない(請求されない)のが一般的かもしれません。しかし、不動産コンサルティングは、本来、媒介業務の受注や建築工事の請負などが業務の目的ではないはずです。また、誰かに何らかの仕事を依頼し、その人が依頼した仕事を遂行してくれたら、その対価として報酬を支払うのはごく当たり前のことではないでしょうか。
このようなことを踏まえ、『不動産コンサルティング制度検討委員会報告書』では、企画提案型の不動産コンサルティング業務について報酬を得るには、その業務の独立性と報酬受領について社会的認知を得ることが必要であるとし、そのための基本的条件(内容要件)として次の3点を挙げています。

(1)不動産に係る依頼者の広義の意思決定に係る助言・提言を行う業務として、宅地建物取引業法上の宅地建物取引主任者(現 宅地建物取引士)業務である不動産の売買・交換や売買等の代理・媒介業務から分離・独立したものであること。
(2)不動産開発業務や管理業務などとも業務範囲を異にし、かつ、これらの業務の受託を前提としない固有の業務であること。
(3)その成果について依頼者が報酬を支払うに足りる新たな付加価値が認められる内容であること。

さらに、以上の基本的条件を満たすスキームとして次のような要件(手続要件)を満たす必要があるとしています。

(1)不動産コンサルティング業務の受託にあたっては、依頼者に対し、事前に業務の範囲・内容、費用・報酬額の見積書等を提示・説明し、報酬受領に関して依頼者の理解と納得を得ること。
(2)不動産コンサルティング業務を受託するときは、業務委託契約が締結され、かつその契約書には、業務内容及び費用・報酬額が明示されていること。
(3)不動産コンサルティング業務受託の成果物は、企画提案書等の書面で交付し説明すること。

すなわち、基本的条件を充たすスキームの要件(手続要件)は、1,事前説明、2.契約締結、3.成果物の書面化の3つということになります。
なお、建設省不動産業課(当時)は、平成11年9月27日付の都道府県及び業界団体あての事務連絡「不動産コンサルティング技能試験・登録事業と宅地建物取引業の関係について」において、「不動産コンサルティングを行って報酬を受けた後、当該コンサルティングの成果に即して宅地建物の売買の媒介等を行ってさらに報酬を受けた場合、これらの報酬の合計額が宅地建物取引業法上の報酬の上限を超えていたときは同法に違反したことになるかという点が問題となりうる」とし、不動産コンサルティングに関し、宅地建物取引業とは別個の業務と判断されるためには、次の3つの要件を満たしていることが望ましいとしています。


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1-6.不動産の売却などを依頼する場合でも、公認 不動産コンサルティングマスターがいる店の方が安心できる気がしますが、その場合、仲介手数料が高くなるというようなことはありませんか。


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不動産の売買等の媒介に係る報酬については国土交通省告示でその上限が定められています。ですから、公認 不動産コンサルティングマスターがかかわったからといって、それ以上の額が請求されることはありません。しかし、宅地建物取引業法に規定された業務以外に、不動産コンサルティングについて別途業務委託契約を締結し、その業務が遂行された場合は、その契約に取り決めた報酬をお支払いください。不動産コンサルティングに関しては、報酬の額が法令等で定められているわけではありませんので、その額は契約内容に委ねられることになります。